伊吹山を簡単にご案内


1 登山ルートと特徴

 岐阜県との境界にある滋賀県の最高峰(1377m)で百名山の一座。三角点は滋賀県側にある。登山道としては、南へ延びる「弥高尾根」または「上平寺尾根」から5合目までのバリエーションルートがあるが、基本的には南西側の米原市上野からの通称正面(表)登山道が主なルート。
 
 岐阜県側からでは「静馬ヶ原」を南端とする「伊吹北尾根」に通じる笹又道があるが、静馬ヶ原から山頂方向へは徒歩通過禁止のドライブウェイで寸断されており、実質ここからの登頂はできない。

 正面(表)登山道からの登山道は、5合目から屏風のようにそそり立つ急斜面をジグザグに切られており、所々で石灰岩が露出していたりと草原の中を行く高山の雰囲気を手軽に味わえる。特に琵琶湖を見下ろす高度感はすばらしい。

 5合目からは木立がほとんどなく、標高が比較的低いため夏は暑い。そのため、夜間登山も盛んに行われている。7月頃には運が良ければヒメボタルの淡い光の乱舞が見られる。
 
 積雪の多い冬や残雪期にはスノーシュー(雪が堅ければアイゼンのみ、場合によってはアイゼンなしでも可:冬山装備必携)やバックカントリースキー・ボードなどでも賑わい、一年中登山者が絶えない。

 山頂からは360°遮るものがなく、北〜北東には、視程が良ければ剱岳・立山〜乗鞍岳といった北アルプスのほぼ全域、御嶽山中央アルプスが見渡せる他、奥美濃の山々、とりわけ白山の優しい山容が手に取るように望める。

 南に目を転じれば鈴鹿山脈のどっしりとした霊仙御池岳が見え、琵琶湖を挟んで比良山地比叡山、琵琶湖に浮かぶ沖島、西に竹生島野坂山地など琵琶湖と湖国の山々田園風景を一望することができる。長浜や彦根、濃尾平野の夜景もすばらしい。

正面(表)登山道



弥高・上平寺尾根



弥高尾根注意事項(H29.9.10)


笹又道




2 伊吹山の動植物


 伊吹山は、保水力が低く表層土壌が薄いため高木が育ちにくい石灰岩から成ること、日本海側と太平洋側気候の境界に位置し、冬の北西季節風の通り道であり積雪が多いことなどから、低山でありながら、ハクサンフウロ、ニッコウキスゲ、グンナイフウロ、シモツケソウ、キンバイソウなどの亜高山帯でも見られる北方系や多雪地帯の植物が普通に見られる(ただし、コマクサに代表されるような純粋な高山植物(森林限界より高所に分布する植物)は見られない。伊吹山を紹介するHPやパンフレットで「高山植物の宝庫」と紹介され、誤解を招くものが多いので要注意)。
 
 その他、ルリトラノオ、コバノミミナグサ、コイブキアザミといった特産種があるほか、イブキジャコウソウ、イブキハタザオ、イブキフウロ、イブキトリカブトなど和名に「イブキ」とつく特産種を含む植物が21種ほどあると言われ、頂上台地周辺は「伊吹山山頂草原植物群落」として国の天然記念物に指定されている。

 真偽について定かではないが、織田信長薬草園を開いた地とも言われ、ヨーロッパ原産のキバナノレンリソウ、イブキノエンドウなどが日本では伊吹山のみに自生している。

 その他には、登山中にはめったに見かけることがないが、ニホンカモシカ、ツキノワグマなどの希少なほ乳類、クマタカやイヌワシなどの貴重な猛禽類なども生息している(イーグレットオフィス様のHPが参考になります。各自御検索ください)。


3 シカの急増と保全

 残念ながらこの貴重なお花畑が近年のニホンジカの急増により危機に瀕している。伊吹山は陸棲巻き貝(カタツムリなど)の宝庫でもあり、ニホンジカはこれらや、幼虫の時にこれらをエサとするヒメボタルにも悪影響(間接効果)を与えているようである。

 さらには、登山道周囲の登山者による無意識のうちの踏み荒らしや、獣道への踏み込みなどの人による植生破壊も目立ちつつある。

 入山協力金(300円)は一般的な環境保全の他、シカからの食害対策に利用されている。ぜひ多くの「山を愛する方々」にご協力いただきたい。

 【参考】効果的な防護柵について(山門水源の森シンポジウム)



4 開発と景観

 伊吹山は古くから資源や観光地としての開発が行われ、西面や南面では石灰鉱山として大きく削られ、特に西面では鈴鹿の藤原岳と同様、山の形が変わるほどである。5合目から下部はスキー場として開発されていたが、温暖化の進行のためか雪が少なくなり、現在は廃業となっている。

 岐阜県側の笹又から見上げると、ドライブウェイにより中腹で寸断されているように見え、痛々しい。しかしながら、これにより多くの観光客に少しの登りで貴重なお花畑を見ていただくことができている。


5 神話と伊吹山

 伊吹山は神話の舞台でもあり、山頂には日本武尊像がある。記紀では東征の帰路に伊吹山の荒ぶる神(白猪、または大蛇とも)を退散させるため、伊吹山に登ったものの、侮って神剣草薙の剣(天叢雲剣)を持参しなかったため敗北されたと伝わる。

 【参考】近江国一之宮 建部大社参拝



6 アクセスと登頂まで

 車では名神関ヶ原IC、北陸道米原ICから簡単にアクセスできる。駐車場は旧ゴンドラ乗り場付近に有人・無人の有料駐車場(トイレ有り)があるほか、民家の庭先を利用した有料駐車場がある(1日300円〜500円程度)。
参考:駐車場について

 登山道沿いのトイレは1合目、3合目、頂上にあるが、1合目以外は冬季には閉鎖される。

 正面登山道入り口からの登頂は、早くて2時間で可能であるが、急登でもあり体力に応じて、3時間以上の余裕をみた方が無難。

 【参考】
@伊吹山観光振興会発行のパンフレットに記載された正面登山道コースタイム
  登山口 →90分→ 3合目 →30分→ 5合目 →80分→頂上(合計3時間20分) 下り2時間20分 標高差1200m
 ただし、「往復7〜8時間必要です。」とも書かれている。 

A昭文社「山と高原地図」に記載された正面登山道コースタイム
  登山口 →100分→ 3合目 →130分→ 頂上(合計3時間50分) 下り2時間30分



★伊吹山があって本当に良かったと感じる守るべき風景の「かけら」がたくさんあります。是非多くの方々に足を運んでいただき、共有・共感いただければと願っています。


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