報告! 東遊歩道エリアへの鹿侵入(H29年6月10日)


■伊吹山では、ボランティアを含む多くの方々の手によって、待望の鹿害防護柵の設置が完了したばかりですが、本日、東遊歩道エリアでは短時間に数えるだけで12頭もの鹿が確認されました。防護柵の設置の不完全さ(AF規格防護柵自体は効果とメンテナンスの容易さを両立した優れもの)や侵入可能と思われる箇所も素人目で恐縮ですが見受けられました。行政を含む防護関係者の皆様にとってはすでにこの状態をご存じだと思いますが、一般登山者の目線でご報告し、できるだけ多くの皆様と危機感を共有できればと思いUPさせていただきます。

■斜面も荒れているのがおわかりいただけるかと思います。中央遊歩道からも100m程度しか離れていないと思います。


























■昼間はこの周辺の灌木帯を隠れ場所としているのでしょう。夜間には東遊歩道エリアの広範囲で活動しているものと思われます。


■これだけの広範囲に防護柵を張られた「伊吹山自然再生協議会」(滋賀県、米原市が事務局)を初めとする防護関係者のご努力や、それを支え続けている協力金を払ってくださった数多くのサポーターのご協力を考えると、とても残念です。


山門水源の森シンポジウム京都大学の高柳敦先生からは「絶対に入られない場所と鹿に学習させること」が大切と教わりました。今回は鹿の方が一枚上手だったのでしょうか。少なくとも「蟻の一穴」はなくさなければ。


■上の写真でも鹿が入れない金網内と、鹿が「入れないはず」のAF柵内との草の高さの違いが分かると思います。夜間にはこの破れた箇所付近にも鹿が行動していることが想像できます。出入り口の場所も学習しているかもしれません。

■鹿には罪はありませんが、過度の増殖は山全体の植生や「間接効果」により生態系そのものを変えてしまう威力・恐ろしさがあります。

 例:鈴鹿山脈@霊仙山 食害初期後期末期  A藤原岳   B御池岳 
      その他 山門水源の森現地交流会 山門水源の森HP(外部リンク)

■一度入り込んだ多くの鹿を再度柵外へ追いやることは難しそうです(大人数で追い出す?)。また冬を待って網を下ろし、鹿が自然に下りていくのを待つしかないのでしょうか。柵の効果は西ブロックを見れば明らかなので、万全の対策を期待したいと思います。


平成29年7月10日追記 東遊歩道エリアで「追い出し」が行われたようです。

7月9日午後からドライブウェイ利用で伊吹山の遊歩道を散策し、花の移り変わりと少ないものの鹿がいる状況を再確認したところですが、とある防護関係の方のページ(フェイスブック)を拝見すると、なんとその日に鹿の追い出しをされていたとのこと。登山者や観光客が増える前の早朝でしょうか。

京大高柳先生のご指導の下、あらかじめ防護柵の網の一部を押し下げて鹿が通れるようにしておき(こういったことができるのもAF規格防護柵の利点)、十数名で一列に並んで追い出しをされたとのことです。藪の中を声を出し、笛を吹いて追い立てた結果、約半数の5頭が柵の外に出て行ったとのこと。

■私がドライブウェイから眺めた親子の鹿はその残りの鹿だったようです。私は先に柵の隙間から入ってきたと想像しましたが、そのページによると一部鹿に噛み切られて穴が空いた箇所から入ったとされていました。網を噛み切る技を持っている鹿がいるとは。よほど伊吹山の草原は魅力的なのでしょう。


■さらに、新たに柵を設置されるようです。どおりで所々に丸められた新しい柵の網が置いてあったわけです。

■伊吹山の自然はこうした多くの「守人」の方々のたいへんなご努力と、協力金にご賛同いただいている「山を愛する」多くのサポーターによって支えられています。12頭もの鹿を見て絶望していた自分が恥ずかしいです。強者揃いの皆様、本当にありがとうございました。

まだ中に鹿が残っており、網を噛み切る行動があることからまだまだ油断ができませんが、私もできるだけ伊吹山に登り、草花やいきものの魅力や(名前はなかなか覚えられませんが)鹿の状況などお伝えしたいと思います。


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