クマとの遭遇について その2


■先日、クマとの遭遇について書かせていただきました。その際に、クマ除けスプレーの効果については分からないと書きました。ところが、十数年前に購入したまま本棚の飾りになっていた山と渓谷社「山でクマに会う方法」(米田一彦著)を改めて読むと、その効果について書かれていました。

■やはり効果は抜群で、著者が実際に襲われた時に使用した例も書かれていました。ただし、5m以内に近づいてくるまで我慢しなければならないこと(一気に向かってくることが多く、素早く準備する必要もある)、噴射した後自分もカプサイシンの刺激に苦しむことも使用の際の注意点としてあげられていました。それでも顔面を鋭い爪で一掻きされるよりもマシでしょう。この本は長年の調査経験に基づいて書かれており説得力があります。


■クマが棲む山に入る際にあると良いものとして、クマスプレーと頭を保護するヘルメットでしょうか。ヘルメットを本格的クライミングでないところで被るのには抵抗があるので、すぐに被ることができるようにザックに引っかけておくのがよいかもしれません。クマスプレーはヘルメットより値段が高いくらいで、1回かぎりの使用ですが、万が一に備える価値はあると思います。それと、クマ除け鈴は必携ですが、キンキンとかチンチンとか高い音が出るもの方がクマも早く気付きやすいそうで、私が愛用しているモンベルの釣り鐘型のものはまさにそのタイプでしょう。


■この本には襲われた際の対処についても書かれており、よっぽどの武器を持参していない限りやはり無闇に抵抗しても興奮させるだけで勝ち目はなく、うつぶせになり、手で首を、地面でおなかを隠して致命傷を避けながら立ち去るのを待つのがよいようです。ヘルメットを被っていると、手は自分の首を守ることに集中できます。ザックはやはり背負ったままの方が背中を防御できます。

■この著者の最近の本としてつり人社「熊が人を襲うとき」があります(先に紹介した羽根田治著「人を襲うクマ」とタイトルが似ているのでご注意)。これには、過去の新聞記事にあった熊に襲われた数々の事故が紹介されています。クマは相手が子供であろうと容赦しません。昭和46年の群馬県で、目の前で自分の幼い娘がクマに襲われて亡くなる事例。その光景を想像するととても辛くなります。

■最近、岐阜県高山市の小学校に侵入したクマが射殺された事故で、「クマが可愛そう」といったり「学校で射殺なんて」といった苦情が寄せられたとのニュースがありました。理解できる部分とできない部分があります。クマは今や希少動物で保護されるべき動物だと思います。どこかの県でイメージキャラクターになるほど、見た目が可愛い動物です。しかし、目の前で子供達が襲われるところを見たくありませんし、友達が襲われているところを子供達に絶対に見せてはいけません。自分が教師で教え子が襲われていたらバットを持って助けに行ったでしょう。たぶん、同じ立場であったなら多くの方々がそうすると思います。今回は運良く被害者もおらず猟友会により射殺となったわけですが、学校側や警察、行政がとった行動は正しかったと思います。




  平成29年11月18日 記