令和3年8月

23日(月) 伊吹山のイヌワシを守りたい
■環境省のホームページのイヌワシ保護増殖計画の関連資料の中に「イヌワシ保護増殖事業マスタープラン」(平成 27 年7月1日イヌワシ保護増殖検討会)というものがあり、その中でイヌワシ個体群の減少要因が書かれてありました。

■イヌワシ減少(個体群、繁殖成功率)の要因として因果関係が認められるものとして
@森林の荒廃(うっぺい化)
A開放地の減少
B放牧地や採草地の減少
C各種工事やレジャー,写真撮影等の人間活動に伴う騒音や不用意な接近による繁殖阻害
があげられています。

■また、減少要因の可能性が高いものとして、
@大規模開発による生息地の消失
Aシカの生息密度の過度な増加による下層植生破壊がイヌワシの餌動物の生息環境を悪化させている
Bダイオキシン類,農薬,重金属等環境汚染物質の生物濃縮による影響
などがあげられています。

■やはり、狩り場を守り、過度な登山者やカメラマン等人間によるインパクトを極力減らし、シカの食害による下層植生の衰退を防ぐ必要があります。登山者もカメラマンもみだりにイヌワシの狩り場や繁殖地に侵入し、長時間居座ることはやめましょう。

21日(土) ミヤマカラスアゲハ
■子供の頃から昆虫が好きで、まだ字も読めない頃に買ってもらった昆虫図鑑の昆虫を指さし「これなに?」と何度も何度も聞くものだから母がいつも困ってたらしい。小学生の頃は蜂をペットにしようと網で捕まえて、虫かごに入れる前にお約束どおり刺されて泣くんだけど、ほとぼり冷めるとまた捕まえて。今度は針を抜いてやろうと、網の中で針を出し入れしながらもがいている時に、木の枝か何かで針を押さえて引っこ抜けないかとやってまた刺されて。指先刺されると痛いんですよね。その頃はアナフィラキシーショックなんて言葉は知らなかったし、そうはならなかった。巣に近づきさえしなければ蜂はけして襲ってこないというのも体感的に覚えましたね。

■昆虫の魅力は、カブトムシやクワガタムシ、トンボやチョウといった色々な形や色があって、大概は空を飛ぶし、中にはお尻にはさみを持ったものや体内に毒を持ったものもあって、機能的でかっこよかったりきれいだったり毒々しかったり。それらを何でもかんでも捕まえて眺めるのが好きでした。

■このチョウも住んでいた大阪市内では姿を現さず、図鑑を眺めて憧れていたものの一つ。「ミヤマカラスアゲハ」。光の当たり方で青く輝く美しい蝶。(最後の個体はカラスアゲハ)



14日(土) どこに高山植物? シカ害は? 伊吹山ドライブウェイへの不信感
■伊吹山ドライブウェイ(DW)のお話。料金所で配られるリーフレットには「たくさんの高山植物」との記載。1500mに満たない伊吹山は分類上低山なのに?

■リーフレットには「夏に咲く高山植物には、シモツケソウ、イブキトラノオ、イブキフウロ、オオバギボウシ、キリンソウ、クガイソウ、コオニユリ、メタカラコウ、ルリトラノオ、シシウドなどがあります」とあります。独自の定義があるようですね。たしかにこの中には亜高山帯の山地草原にも生えるものも含まれていますが、タカネリンドウ、チシマギキョウ、コマクサといった高山帯に咲く花はありません。麓の登山口で配られるリーフレットには「高山植物」という言葉は使われていません。

■「高山植物」といえば聞こえが良く集客出来るのかもしれませんが、ミスリードだと思います。いい加減改めていただけないかな。麓でも咲くニリンソウが春の高山植物に入れられているし。

■その「高山植物」。今やシカによって消えかねない状況。DW運営会社も「伊吹山を守る自然再生協議会」のメンバー。でも、そのリーフレットにはシカの食害のこと、保護のため柵が設置されていること、登山協力金のことが一切書かれていない。最も植生保護について啓発できるお立場あり、伊吹山の「高山植物」の恩恵を受けていらっしゃるはずなのに。

■以前DW売店で購入したPRDVD。そこには、「天空の楽園」というキャッチコピー。そのうち絵空事になっちゃいませんか?



11日(水) 夏の山室湿原
■米原市にある市の天然記念物「山室湿原」で、夏の草花や小さな生き物を記録しました。しかし、どうしてサギソウは人間に好かれるような絶妙な花をさかせるのでしょう? 不思議です。
↓YouTube


9日(月) 西エリアのシカ問題
■動画にしてYouTubeにアップしました。画像をクリック↓


8日(日)その2 西エリアで17頭
■先週、数年前までシカをほぼシャットアウトできていた(自分の目ではシカが見つからなかった)網柵で囲われた頂上台地の「西エリア」でシカ1頭の侵入を確認してしまい、再確認しに行きました。10年前の豊かな伊吹山を知っている身としていても立ってもいられず。今日は午後からドライブウェイを利用。

■DWの駐車場の展望台に上がり、写真を撮り、帰宅後拡大して確認すると、西エリア内の上部の灌木帯だけで14頭。しかも西エリアの遊歩道を歩いている時に40mほどの距離に3頭で合計17頭。この3頭は人間が襲ってこないと学習している!

■先週と今日で東、中央、西エリアで確認したのを合わせると約50頭!が頂上台地の柵の内側に侵入している。見える範囲なので、おそらくその倍近くいるんじゃ・・・伊吹山全体でも明らかに去年より増えている。このままでは、禿げ山になってしまう。恐ろしい増えすぎたシカの威力。


8日(日) 伊吹山のシカ問題
■YouTubeにUPしました。画像をクリックすると飛びます。↓クリック!


5日(木) やっぱりか
■伊吹山のシカ問題。シカによる食害の影響が激しくなった平成26年頃から頂上台地のお花畑を守るために網の防護柵(AF規格柵)が設置され始め、平成28年にはドライブウェイ駐車場より上部の頂上台地を、西、中央、東の三区画に分けて防護柵で囲い込む、京大芦生演習林で実績のある尾根に囲われた集水域全体を囲い込む「集水域防護」に準じた柵の設置が完成しました。しかし、広くて隠れ場所となる灌木帯がたくさんある東エリアでは春の網上げ時(雪に備えて晩秋には一旦網を下ろす)に追い出しきれなかったり、後から網を破ったり持ち上げたりして侵入するシカが多く、一向に植生が回復しませんでした。また、数は東ほど多くはないですが中央にも侵入しているのを確認しています。

■一方で範囲が比較的狭く灌木も少ない西エリアでは、当初は完璧に防護できていると思われ、草花の移り変わりを楽しむことができていました。しかし、一昨年位から花が少なく、草の背丈も低く感じ、昨年と今年は地面がむき出しになっているところも多くなり、姿は見えないけれどおそらく侵入していると感じていました。

■そこで、前回1日に撮った西エリアの写真を拡大して見るとやはり1頭の侵入を確認できました。西エリアでも上部に灌木帯があり、おそらく他にも隠れているシカはいるでしょう。

■あまりにもシカが増えすぎて、このままでは伊吹山の固有種も、分布上貴重な種(グンナイフウロ、ハクサンフウロなど)も消えてしまいそうで心配です。ニッコウキスゲは全く見つからなくなりました。草がなくなると石灰岩地特有の多様な陸生貝類も少なくなって、それを餌とするヒメボタルも少なくなってしまいます。生態系に与える間接効果はどれほど大きいことか。いずれは生態系の頂点にいるイヌワシにも影響がでかねない。
伊吹山を守る自然再生協議会の取り組みを協力金という形で応援するしかないのですが。


1日(日) 象徴的な3枚
■2重のシカ防護柵に囲われたシモツケソウの見頃です。


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