令和元年6月1日 「落胆」と伊吹山の現状3


昨年の5月6日には頂上台地でシカ進入防護柵が張り巡らされており、シカ対策は万全と喜びました。しかし、実際はシカが侵入しており、その後一部斜面は荒れ放題となりました。昨年の経験を活かしてもっと早くから今年は柵が張られるのではと勝手に思っていました(この防護柵は雪の季節を前に網だけ降ろし、春に張り直す)。昨年のシカの侵入を伊吹山自然再生協議会登山者からの協力金で対策を行う公的機関)が知らないはずはないし、あるいは、何らかの考えがあってのことかもしれません。または協議会の予算執行が何らかの理由で遅れているのかもしれません。今回確認すると、中央と東エリアの柵が張られていませんでした。西エリアでも一部不完全なところがありました。それにしても残念です。正直落胆しました。

■東遊歩道の下部からいつもの斜面を見上げると、15分の間に2頭のシカが視界を横切りました。これまでのことを考えるととても2頭だけしかいないとは思えません。これから追い出しを行って一気に柵をあげる作戦であってほしい。そうでなければ毎回協力金を支払っている意味がわからなくなります。柵の管理が大変な作業であることは理解しておりますが、この不信感の様な嫌な気分が希有に終わることを願ってやみません。

■今回は、4月に登り気になった登山道の荒れ具合をレポートしようと思っていましたので、登山道の現状も併せて報告します。

■ただし、いやな部分だけをお伝えするのは本意ではありませんので、花や風景の素晴らしさも後の方で報告します。



■まずは伊吹山の現状から

■5合目荒れている。おそらくシカの通り道。


■6合目と7合目の間から見上げる。斜面に裸地が広がっている。シカの捕食と踏み荒らしによる裸地化。


■7合目〜8合目。シカが食べないイブキガラシが優占する綺麗だけれども異様な風景


■ここ2〜3年で一気に増えてきた。夏になり一斉に枯れると灰色の斜面となりさらに異様な風景となる。


■荒れた登山道。おそらく登山道付近もシカに荒らされ登山道と斜面の境界がわかりづらくなり、人による踏み荒らしと土砂流出で徐々に広がったり荒れたりしているのだろう。


■かつて周りの草の背が高かった頃は、こんなに広い部分は無かったはず。コーナー部分。


■イブキガラシがない部分はシカに荒らされ裸地になっている。


■荒れ方がひどく右手にショートカット道ができてしまっている。伊吹山の正面登山道にはショートカットできる道はない


■登山道横の斜面が裸地化して道が崩れている。


■偽登山道。ロープがなければ登山道と思って侵入しても無理ない。そういうことが繰り返されさらに歩きやすくなってしまう。


■荒れて道が広くなるだけでなく、徐々に斜面が崩れて登山道が狭くなっている。


■ここなど一人分の幅しかなくなった。崩れたところを登山道と間違える人もいて、ロープが張られている


■コーナの荒れた斜面。以前は左の土の部分はなかったと思う。本当の道は右の岩やさらにその右の岩(この次の写真)の上を通る道だったはず。おそらくシカの食害で草地が減り、そこに人が足場を求めてこのようになってしまったのだろう。


■本来の岩の足場


■8合目。ここも足場が狭くなっている。


■ぼんやり歩いていると右にショートカットしそうになる。


■しかし、上部にはトラロープ。


■9合目の直下。登山道の様に見えるが、写真のさらに左下に本来の道がある。よく見ると通行止めのロープの支柱があるけれどロープが切れている。右側の、元々は獣道だったと思われる荒れた道(登山道を乗り越えた延長線上の左の斜面にも獣道が続いていた)をショートカットする人が非常に多く、ほとんど登山道状態となっている。早急にロープで通行止めにする必要がある。しかし、シカが多いうちは植生が戻っても本来の多様性は戻りそうもない。このあたりで、初めてグンナイフウロを見て感動した頃の面影は全くない。


■その偽登山道の上部。ここにもロープが必要。または、赤ペンキでバッテンマークか。


■9合目と頂上との中間点。ここでは防護柵が張られており安心したのだが・・・


荒れた頂上台地中央部。何かおかしい。


足跡!


■裸地化している。


■と思ったら、このあたりの防護柵は支柱だけ。網は下に降ろされたまま。シカも入り放題ではないか。


■荒れた頂上台地。なぜ柵張りが遅れているのだろう?


■シカが食べない植物だけ残っている?パッチ状に草の塊ができるのはシカの捕食圧が高い証拠。ここは6月中旬頃に花を咲かせるニッコウキスゲがかろうじて残っていた、東遊歩道東端の2重柵の中。今から柵をしても、この状態で生えてくるのだろうか?まだ、諦めるには早かったはず。


■遊歩道下部から見上げる。


■獣が斜面を壊す。


■獣道


やはりいた!


■約15分間に2頭が右から左へ通過


■シカが消えていったオオイタヤメイゲツ林。その下の斜面は荒れ放題。とても2頭だけとは思えない。灌木帯に居着いて、夜には広い範囲に採食に出るはず。もうこうなったら、この中にシカ追い払い兼用の遊歩道や休憩所を作ってほしい。


■西遊歩道へ。ここでは一見、柵が完璧に張られているように見える。採石場が見える。(神の山伊吹山は身を削って人々の生活を支えてきた。)


■柵の扉をくぐる。


■西エリア南側の展望ピークからみた、あの9合目直下の偽登山道をショートカットする登山者。どう見ても登山道に見えるので、非難する気にはなれない。しかし、正面登山道にはショートカットできる道はないことは十分広報する必要がある。今朝、登山口の協力金徴収所(ビジターセンター)でいただいたパンフレット(「伊吹山 花だより:6月号」)にも注意書きがされていたが、このとおりの現状。


■西遊歩道柵内と柵外(手前)。すでに違いは明らか。


■西遊歩道の頂上側出口。こちらのエリアは完璧と思っていたのに柵の扉の右側ががら空き。中央にはシカが自由に入れるので、ここから西遊歩道エリアに入れる。なぜ中途半端? いったん進入したシカを追い出した後そのままにしているのかとか考えてみるが・・・理解困難。


■下り、9合目下の偽登山道に入らないように石を並べて蓋をする。焼け石に水か?左の道が正しい道。石を並べている15分間にも4人ほど上から下りてこられた。


■上側へ引き返し、その偽登山道の上にも石を置いてみるが・・・ロープが張られていない進入防止の杭より右側が本来の道。道が広がって来たのがよくわかる。こうなってしまっては諦めた方が気が楽かとも思う。


■8合目から見える場所にもシカが悠々としていた。かわいいけれど異様な光景。


■今日は荒れた登山道をじっくりみて、気分が萎えかけているところに、期待していたシカ防護柵が不十分であったことに、さらにがっかりした伊吹山だった。伊吹山自然再生協議会の自称サポーター(できるだけ多く登って、楽しみながら協力金を支払うことや、このサイトで現状と魅力を発信する(訪問者が少ないのが難点)であることに変わりないが、やはり残念。昨年は、簡易ロープ張りやシカにかじられて破れた防護網のロックタイでの補修を勝手にやったが、ご迷惑でなければ、微力ながら続けたいと思うのだけど。また、他にできることはありませんか?

■ついでに、今日は1合目から林道を使って下りたが、入り口ゲートに自転車も含むという文字。かつては自転車で3合目まで登ったりしていたので、またまた残念。許可があれば行けると読めるが、看板の作成者や連絡先も書かれていない、不親切な表示の典型。岐阜県側の笹又から頂上へはドライブウェイで行けなくなったこと(昔の手のひらサイズのガイドブック「伊吹山自然観察ガイド(2007)」ではドライブウェイを通過して行けることになっていた。制作協力者として伊吹山ドライブウェイ事業部も明記)も含めて楽しみ方が減っていく




■次に伊吹山の風景について。魅力を感じていただければ。

■木漏れ日の2合目


■3合目。巨大な石灰岩のガレ場が迫る迫力のある風景。


■さあ、ここからが本番


■5合目から。緑の壁。


■7合目からの琵琶湖の風景


■いつも人だかり。頂上台地の日本武尊像。


■広い頂上台地


■奥美濃の山々。今日は能郷白山までしか見えていないが、見通しが良いと白山まで間近に見える。その右には剱岳〜乗鞍、御嶽、中央アルプス〜南アルプスも運が良ければ手に取るように見える。


■荒々しさを見せる南東の急斜面


■鈴鹿山脈も小さく見える。手前に霊仙その左奥に御池岳と藤原岳。視界が良ければ御在所岳あたりまで見える。


■東には濃尾平野。


笹又道の起点が覗く。


■西エリアの展望ピークから琵琶湖を一望。


■竹生島が見える。


■見通しがきくと野坂山地〜比良山地〜比叡山まで見渡せる。


■つづら折りの正面登山道


■頂上台地はドライブウエイからのハイカーも集う憩いの場


■分類上の低山でありながら高度感は抜群


■1合目。パラグライダースクール。かつてはスキーゲレンデでもあった。眺めながらの下山も楽しい。


■鯉のぼりの吹き流し。


■三宮神社に参拝して今日の登山は終了


■なぜ、民家の庭先にブナ?




■さらに今日の花や小さな生き物 2〜3合目


■日本では伊吹山にしか見られない珍しい帰化植物


■小さくても存在感抜群














■5合目〜頂上台地


















































■8合目 独特の香り。


■3合目。西側林内にも歩ける場所がある。











■三合目シカ防護柵の中


■林道










■おまけ

■誰か畑仕事?


■違った。


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